宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

課題分析 15.クレディセゾン

第55回宣伝会議賞課題分析シリーズ、第15回は・・・

 

15.クレディセゾン
生活の100%をカード払いにしたくなった!
と思わせるような広告アイデア

 

この課題でまず認識するべきことは・・・

 

仲畑貴志さんですら、未達成。

 

もし国際基準(?)で考えるとすれば、
ウォシュレット普及の方が断然難しい
「おしりだって、洗ってほしい。」で、
ウォシュレットを広めた仲畑さんですら、
日本でカード払いを習慣化できていない。
それくらい難しい課題、ってことです。

そういう認識を持っている応募者が、
どれくらいいるのか、大いに疑問。

 

では、この課題はどう難しいのか
その点についての私の考え方は、
以前のブログの、第53回の課題分析を
(課題は同じではないけど、肝は同じかと。)

http://adream.hatenablog.com/entry/2015/11/19/184713

 

ただし、他のカードとの差別化については、
ちょっと違う考え方をしてみたい・・・。

オリエン発表号の102ページの記事によれば、
新規層の開拓には苦戦しているとのこと。

セゾンならではの魅力を訴えらないか?
難しいようで、むしろそうする方が、
企業にとって価値のあるものになるし、
新しいアプローチも出て来やすいかも。

 

では逆に、どういう作品がダメか・・・。

 

宣伝会議賞の作品として読むと分かるが、
一般の消費者には共感されない作品。

 

例1:○○でポイントをためて、××を買った。
それ、そのポイントの使い方自体の提案?
それとも、一般的にポイントはお得ってこと?
前者なら、それ自体によほど魅力がないと。
後者は、いまさらどれだけ影響力があるのか。
しかも、本当にカード払いが習慣の人は、
特定の買い物と特定のポイント利用を、
頭の中で結びつけたりはしないのでは。
ポイントによる幸せへの共感よりも、
レトリックを優先している感じがダメ。
既存のもののバリエーションではなく、
新しいアプローチが必要でしょう。

 

例2:現金は汚い。
企業の都合による攻撃なのが見え見え。
「現金が悪者だからカード」では・・・。
大多数の人は現金を習慣的に使っている。
心理的な抵抗感も考慮に入れないと。
観点そのものはあってもいいと思うけど、
社会をよくする提案として提示してほしい

 

例3:彼女が突然高いものをねだった。
その時に現金の手持ちがなければ、
言われなくてもカードで払うし、
その場1回限りのことだろうし、
そもそも自分の経済力を超えていたら、
カードで払っても後で困るでしょ。
こういうシーンとの不合理な連想こそ、
カード払いの普及を阻害してません?

 

・・・等々、ダメな例はSKATをご覧あれ。

 

細かい点を怪しい話にするのはやめて、
カード払いを文化として広め定着させる
という大きな構想を描かないことには、
何も始まらないんじゃないかと・・・。

 

明日は、「課題16.ココカラファイン」。