宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

課題分析 41.マネックス証券

第55回宣伝会議賞課題分析シリーズ、第41回は・・・

 

41.マネックス証券
「トレーダーってかっこいいな」と
思ってもらえるようなキャッチフレーズ

 

この課題、つっこみどころが多すぎる
私は第52回から参加していますが、
少なくともそれ以降では一番問題あり。

協賛企業に対しては敬意を表しますが、
一般人(?)して参加している以上は、
つっこむべきところはつっこまないと。

 

一番の問題は、全く別の課題が2つあること。
41-1.「トレーダーってかっこいいな」と思ってもらう
41-2.「トレードステーション」の認知を拡げる

この2つは、さすがに一緒にはできないでしょう。
課題を見たときから、違和感はあったのですが。
課題とターゲットが合っていないのでは?とか、
「トレードステーション」は何の関係が?とか。

しょうがないので、2つに分けて分析します。

 

41-1.「トレーダーってかっこいいな」と思ってもらう

 

課題グラフィックは、基本的にこういう解釈で。

 

まず、「トレーダー」の定義が曖昧では?
と思ったら、Wikipediaにこうありました。

「短い期間で売買を繰り返す証券投資家」

うん、こういう理解でいいと思います。
これでも「短い期間」は曖昧ですが、
まあ、ニュアンスは分かりますよね。

例えば、ウォーレン・バフェット氏は、
「トレーダー」とは呼ばれないはずです。

 

次に、「20~40代の男性」は、広告ではなく、
「サービスの」主なターゲット、なのでは?
「世間からのイメージ向上」が狙いであれば、
当然、ターゲットは世間の人一般になるはず。

もっとも、それには莫大な広告費が必要になり、
マネックス単独でやるのは割に合わないかと・・・。

で、「世間からのイメージ向上」を狙うとして、
課題グラフィックのマンガを真に受けていいのか?
まあ、宣伝会議賞だからこうなったのでしょうが、
このニュアンスの広告を世に出してしまったら、
イメージ向上どころか、反発を招きかねない
むしろ、このイメージこそが問題の元凶では。

 

というわけで、安易な作り話や屁理屈は厳禁
うさんくさいイメージに輪をかけてしまいそう。

利益を上げる人もいるが、損失を出す人もいる
ましてや、「資産を築いて多額の寄付」とかは、
実際に成功した人が語ってこそ、じゃないかな。

また、大多数の人は働いているわけですから、
働く人をバカにするのは逆効果でしかない。
それに、投資先の従業員が働いてくれないと。
短期売買だって、それ単独では成立しない。
長期投資や、その基になる企業活動あってこそ。

トレーダーという生き方の、肯定できる側面は?
それを真摯に考えてみるしかないでしょう。

 

41-2.「トレードステーション」の認知を拡げる

 

オリエンでは、こっちの方が主になっています。

「トレードステーション」については、このサイトを参考に。
https://info.monex.co.jp/ts-info/news/20170801_01.html

 

この場合、ターゲットはどんな人なのかな?
当然、実際にトレードをする人でしょうが、
その中でも、初心者にはハードルが高い。
「本気」でトレードに取り組む人ってことで。

 

ただ、「トレードステーション」自体は無料で、
手数料も通常の取引画面を使うより安いようです。
取引金額が大きい人を狙っているのでしょうが、
取引金額が小さい人でも安くなるみたいで。
「トレーディングツールは基本的に有料」、
とばかり思っていた私には意外でしたが、
今では他社の多くのツールも無料らしい。
が、それでも初心者には複雑すぎるのでは。

 

では、本気のトレーダーに対してはどうか?
この種のツールの存在自体は認識しているはず。
後は、スピードの優位性がどれくらい効くか。
それから、「自動売買」は認知されていないかも。
ただ、その辺は普通に言えばいいような気も。
「自分で考えた売買プログラムを試そう」とか。
本気の人なら、それで想像はできるはずですし。
妙な作り話は、むしろ優位性が端的に伝わらない。

 

と考えていくと、宣伝会議賞の作品としては、
課題を深く理解した人しか評価しないだろうけど、
「初心者と本気の中間の人を本気にする」でどうか。
それをサポートするツールですよ、ってことで。
ただこれだと、キャッチフレーズは普通になるか。
優位性はボディーで説明することになりそう。

 

ふう、課題が2つに分かれてしまうと、分析も大変です。
この課題は、事務局が発表前に介入してもよかったかと。

 

明日は、「課題42.三井不動産リアルティ」。