宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 26.大和リース

「課題分析シリーズ」、第26回は、大和リース

 

◆言っといてや!

課題にはない「企業ブランド全体を」、
そこは事前に主催社がチェックして、
課題に明記するようにしてもらいたい
それが想像できる課題もあるけれど、
この課題はむしろ逆を想像しがちでは。
そこはまあ、ともかくとして・・・。

 

◆課題とオリエンのニュアンスの違い

むしろ、問題はこっちだと思うのですよ。

課題では、「実力が伝わる」とありますね。
文字通りに読めば、具体性と説得力が欲しい

一方、オリエンの本文には、「実力」はなし
大和リースという会社のことが伝わり」、
「多くの人に興味を持っていただける」、
「会社をシンプルに説明することの難しさ」、
「効果的に表現してほしい」等の文言からは、
「何をやっている会社か」を伝えたいのでは。

このニュアンスの違いを、どう解釈すれば?

 

◆「実力」って何?

「実力」は、深い意味はなかったのでは。
あ、そうか、「本当の姿」の意味かな。
「リースや金融だけじゃない」みたいな。
「力の実際のレベル」を想像していたけど、
「力の実際の中身」という意味だったとか。
課題の「それだけじゃありません」からも。
これならオリエンとも整合性がありますね。

 

◆キャッチフレーズの役割

言い当てるのがコピーではないけれど、
この課題は言い当てがベースに必要
事業内容自体よりも、その価値の方かな。
各種事業を通して、どう社会に貢献するか。
「企業ブランド全体を」に従うとすれば、
事業内容そのものでは無理がありますしね。
ここさえできれば、何らかの価値はありそう。

ただ、ものすごく難しそうではあります。
どの会社にも当てはまるものじゃ無意味だし。
何か少しでも「解像度」を上げられれば

実際の事業内容は、ボディーに入る想定で。
まずは、ボディーを読ませる力があること。
そして、各種事業の価値につながっていて、
どんな会社かを読後に記憶に残せること。

 

◆「○○ではない」は?

「リースではない」や「金融ではない」は、
「じゃあ何なのか」に答えられていない。
仮にボディーを読ませる力があっても、
どんな会社かが記憶に残りにくいのでは。

 

◆「数を出す」ことの意味

これは課題18の分析でも書いたことですが、
例えばカクイチやサマリーとこの課題とでは、
「数を出す」ことの意味が違うと思うのです。

この課題において、何よりも必要なのは、
各種事業に共通する価値を抽出すること。
そこができないと、何本書いても無駄。
レーニングにすらなっていないはず。

「コピーが書ける」ことのイメージが、
ある種の課題に偏りすぎていませんか?

 

次回は、「27.竹中工務店」。