宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 32.東京ソワール

「課題分析シリーズ」、第32回は、東京ソワール

 

◆出題企業の概要

例によって、『会社四季報』からの情報を。

 婦人フォーマルウェア専業トップ。百貨店、スーパー向け9割。
 ブラックフォーマル62、カラーフォーマル20、アクセサリー類18

「店舗検索」で調べたところ、主な販売店は、
東急百貨店、高島屋三越伊勢丹、マルイ、等、
イトーヨーカドーダイエー、イオン、西友、等。

 

◆喪服に寄り過ぎない

オリエンの「特定のブランドではなく」を遵守。
ブラックフォーマルのブランドが多いけど、
カラーフォーマルのブランドもかなりある。

また、厳密には「ブラックフォーマル≠喪服」
私はまったく詳しくないので、以下のサイトを。

https://www.monoir.jp/contents/black-formal/367.html

「企業イメージを表現するような」ですから、
フォーマルを着る状況を広くカバーしたい。
間違っても、課題の「喪服」に引っ張られて、
「お葬式あるある」にならないように・・・。

 

◆ポジティブ側を

「間違いのない・失礼のないフォーマル」、
というのも重要な価値ではあるでしょうが、
せっかく出題してそれだけではね・・・。
必要なら企業自身が普通に言えばいいし。

課題8や課題11の分析でも書きましたが、
「○○はダメ」みたいな描き方をすると、
「これはダメじゃないもの」になりがち。
「どう素敵か」の方を伝えてみてほしい

特に、人をバカにするようなものは不可
宣伝会議賞ではありがちですが・・・。
問題を指摘しているつもりなんだろうけど、
バカにしてないで助言すればいいだけでしょ。
課題13の分析の「貞子問題」もご参考に。

 

◆高級すぎず地味すぎず

売店から考えれば、「超高級」ではない。
むしろ、最も客層の広いブランドかも

とはいえ、レディースフォーマルですし、
歴史ある専業メーカーでもありますし、
どこか主張する部分も必要でしょうね。

 

◆「早く着たくなる」は・・・

向田邦子さんの『父の詫び状』の中の、
『隣の神様』というエッセイには、
喪服を作ったら早く着てみたくなった
というエピソードが書かれています。
こういう心理は、確かにあるでしょう。

が、「早く誰か死なないかな」はダメ。
それは「思い切り」ではなく「無神経」
それ以前に、お葬式に寄り過ぎでもある。

では、単に「早く着たい」だけなら?
陳腐すぎるし、「解像度」が低すぎる
「何がすごいか分からないけどすごい」、
という、宣伝会議賞にありがちな問題。

課題の性質上、解像度を上げにくいけど、
何らかの固有のイメージを与えたい。

 

◆「想い」を大切に

オリエンのポイント2は、尊重すべし。
「大切な人への真心」が根底にないと。

ただ、「着る人の想い」も考えてみたい。
「素敵な自分でありたい」もありそう。

 

次回は、「33.東洋紡」。