宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 39.日本数学検定協会

「課題分析シリーズ」、第39回は、日本数学検定協会

 

◆理想的な課題

宣伝会議賞の課題としては優等生ですね。
テーマが分かりやすく、大目的が明確で、
かつ有効なアプローチがいろいろありそう。
オリエンも、見事としか言いようがない。
価値あるアウトプットを生みやすいのでは。
こういう課題ばかりじゃなくてもいいけど。

 

◆誰がどんな目的で受験するか

まずは、ここを考えることから始めたい。

オリエンのポイント2によれば、現状は、
「受験者のおよそ9割は小中高生」で、
「進学や就職に活用」しているとのこと。
まあ、ここを拡大するのもなくはない。
ただ、「親世代に対しても」ともあるし、
子供以外の層を積極的に開拓してみたい

また、「親世代」という言い方からは、
「学校教育との関係」を連想するけど、
むしろ学校教育には縛られない方がいい。
一般社会の中での数学に目を向ける方が、
オリエンのポイント1の表現を使えば、
「より多くの人にわかりやすく」伝わる。

シニア世代狙いも、あっていいと思います。
ただ、「認知症予防」とかを言いすぎると、
根拠も怪しくなるし、目的も限定しすぎか。

そもそも、「目的」というほどでなくても、
「趣味」みたいな感覚で楽しめる方がいい。
漢検」だって、そういう人も多いのでは。
これなら、特定の世代に限定されにくいし。

 

◆サービスのターゲットと広告のターゲット

必ずしも、「潜在的受験者」自身に対して、
直接的に広告を打つとは限らないのでは。

広告は教師向けで、受験するのは生徒とか。
広告は親向けで、受験するのは子供とか。
あるいは、ひねりすぎかもしれないけど、
広告は子供向けで、受験するのは親とか。

ここ、ちょっとだけ頭に入れておきたい。

 

◆説得よりも楽しさを

「進学や就職に有利」とか「○○力がつく」とか、
ベネフィットによる説得は限界がありそうな気が。
「分かっているけど嫌い・苦手」じゃないのかな。
それに、そもそも普通に言えばいいと思いますし。
「進学や就職に有利」はデータを出す方がいいし、
怪しい作り話で「論理的思考力がつく」では・・・。

オリエンのポイント4にも、こうありますよね。

 「数学=嫌い・苦手」というイメージを払拭し、
 算数・数学好きを増やすことを目指しています。

この方向性の方が、実効性もあると思います。

 

◆「練習問題」ではないとすると・・・

「誰がどんな目的で」を細かく分けていけば、
本当にいろいろなものが作れそうではあります。
ただ、実用性を考えると何が価値が高いのか?

宣伝会議賞では、ここは軽視されているような。
認知度が低い商品/サービス/企業の課題でも、
やたら細かい点に目を向ける傾向があったり。
平面的なバリエーションの勝負に偏りすぎでは。
「ど真ん中」で勝負する人がもっと増えれば、
「高さ」の勝負になり、水準が上がるはず。

 

◆広く社会全体に

本課題も、オリエンのポイント2によれば、
「英検や漢検と比較すると認知度は低く」、
まだまだ認知度拡大の余地は大きそうです。
その余地をざっくり取りに行きたいのでは。
マイナーな方向に走りすぎない方がいいかと。

また、受験はしないけど数学に興味は湧いた
みたいな人が増えることも意義があるのでは。
一般公募の賞の、公益財団法人の課題ですし。
また、そうなれば結果的に受験者も増えるはず。

 

次回は、「40.日本レジストリサービス」。