宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 52.ヤフー

「課題分析シリーズ」、第52回は、ヤフー

 

◆入社か協業か?

課題を見て、まず気になったのがこの点。
この疑問に対しては、出題企業の担当者が、
この記事で答えてくれているのですが・・・。

https://www.advertimes.com/20181024/article279124/

いや、そんなことまで考えられる人なら、
自分で作った方がいいのができるのでは。
私がこの人の上司なら、自分で作らせます。
宣伝会議賞の応募者より絶対有能ですよ。
外部からのヒントをというのは分かるけど。
もちろん、出題には感謝しますが・・・。

 

◆スケールを大きく

まず、課題のこの文言に相応しいものを。

 情報技術で人々の生活を前進させ、
 日本を「UPDATE」していく

ITが絡めば何でもいいわけじゃない。
低レベルの問題は、他の企業がやること。
第54回の出題も、背景として参考に。

 

◆細かい話に入り込みすぎない

細かい事例では、大きな像が見えにくい。
技術は多岐に渡りそうだし、未知のものも。
ターゲットは能力も意識も高い人のはずだし、
細部は各自に想像してもらえばいいのでは。

 

◆技術者の想いを想像しているか?

上記の記事で言及されている「技術者魂」
応募者や審査員はどれくらい考えているか。
「見た瞬間に分かる」と言ってる審査員、
こういう課題でもそれは本当に妥当なの?
ターゲットのことを想像できるとしても、
ある一面だけを想像できているだけでは?
本当は、「見た瞬間に分かる」程度の事しか、
考えたことがないだけだったりして・・・。

「経験があるから分かる」と言う人より、
「分からないことをちゃんと考える」
そういう人の方を、私は信用します。

審査に費やせる時間の制約があるとしても、
最低限考えるべきことはあると思うのです。

 

◆第54回の課題と結果と出題企業の反応

これもまた、上記の記事に書かれている話。
第54回の結果を受けての企業の反応がこれ。

 対象者、アピールしたい内容をもっと絞り込んだほうが
 応募者の方にとっても作品をつくりやすくなるのでは

確かに、それ自体はその通りでしょう。
ただ、それは出題の問題というよりは、
宣伝会議賞側の対応力の問題なのでは。
応募者と審査員の対応力の幅の狭さ。
目的を明確にせず、作用機序も考えず、
課題の性質に関わらず細部に走りがち
そんな傾向に対する反省の欠如の帰結。

また、宣伝会議賞とコピーライター一般では、
相似形かはともかく、相関ぐらいはありそう。
企業広告のCMが特につまらなく思えるのは、
太い軸になるコピーを作る人が足りないのでは。
そういうニーズに取り組んでいるかすら怪しい。

本来なら、宣伝会議賞でそこを修正したい。
が、プロが解決できない課題をプロが審査し、
応募者の多くがその基準を受け入れてしまう。
結果、バイアスがバイアスを強化する悪循環

日本のコピーライティングも、UPDATEしませんか?

 

次回は、「53.ロイヤリティ マーケティング (Ponta)」。