宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第12回文化放送ラジオCMコンテスト 聴戦ガイド 14.カチタス

「聴戦ガイド」、第14回は、カチタス

 

◆この課題はなぜ難しいのか

同社からの出題は、今回で4年連続。
一見すると期待できそうな課題なのに、
まだこれといった作品が出ていない。
それはなぜかと考えてみたのですが、
次に挙げる点が絡んでいるのでは。

 

・おうち買い取りNO.1
 実務的には絶対最後に入れたいけど、
 このコンテストでは評価されにくい。

・傷んでいても古くてもゴミがあってもOK
 前回までは、これが主たる訴求点。
 が、あまり大袈裟に描いてしまうと、
 「ボロ家限定」みたいな印象にも。
 また、現実に近い話にしないと、
 何を伝えたいのかが分かりにくい。

・自社で買い取りリフォームして販売
 上記の訴求点を中心にした場合は、
 これも言わないと説得力に欠けるが、
 ここ自体は説明的にならざるをえない。

 

一番目はこのコンテストでは捨てるとして、
二番目と三番目のセットが基本形になりそう。
すると、状況と対策の「説明」になりがちで、
声の演技で心を動かす要素を入れにくい。

 

◆実際のCMでも・・・

企業サイトにある実際のCMを聴いても、
やはり上記の三要素で構成されています。
キャラクターとサウンドロゴを追加して、
企業名を記憶に残す狙いも窺えますね。
これぞ、実務的には真っ当なアプローチ
でも、このコンテストではねえ・・・。

 

◆「住みつなぐ」を中心に

過去3回は課題文の内容はほぼ同じでしたが、
今回はこのキーワードを明確な軸とした内容に。
前々回の「インフォマーシャル」にもあったし、
企業側としては、ここを中心にしてほしいはず。

ただでも難しいのに、キーワード追加ですから、
上記の二番目の点は、今回はうっすらでどうか。
そこを描くというより、「前提」ってことで。

「住みつなぐ」は、本当はそのまま使いたいけど、
このコンテストの性質上、変化形も必要でしょう。

 

◆誰の目線で考えるのか

所有者相続者地域の人が主な選択肢か。
所有者を相続者/地域の人と絡ませるのは、
やってみたいけど、技術的には難しそう。
うまく焦点を絞らないと20秒に収まらず。
焦点を絞れても、ありがちな話になりやすい。

あ、「住みつなぐ」を中心にするのなら、
「売り手と買い手」をまず考えるべきか。
でも、いかにも作った感じになりそう。

 

明日は、「15.川口技研」。