宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 5.キヤノンマーケティングジャパン

「課題分析シリーズ」、第5回は、キヤノンマーケティングジャパン

 

◆「スマホで写真」を否定するだけでは・・・

競合は、いわゆる競合よりも、スマホ
となると、そっちをけなしたくなりそう。
でも、スマホがダメならレンズ交換式、
とは簡単にはならないことに注意したい。

カメラ一般で成立するものは不可
レンズ交換式だからこその違いを。

できれば、スマホ写真をけなすより、
レンズ交換式のメリットを肯定的に
自動的に想像できるかは微妙だし、
スマホがダメだから」じゃなくて、
「こんなに素敵だから」にしたい。
受け手をばかにするのは嫌われそう。

 

◆ターゲットはどんな人?

レンズ交換式カメラを使いたくなる人は、
インスタ映え」も意識しているような、
日常的に写真を撮る人だと想定できそう。
運動会とか特別なイベントを描くのは、
ツボにはまりにくいような気がします。
「若者」の多くはまだ子供はいないし。

 

◆大まかな2つの方向性

・違いに気付いていない人に気付いてもらう
・違いに気付いている人の背中を押す

この区別はかなり重要だと思います。
前者ばかりに意識が向きがちだけど、
後者の需要も実はかなりあるのでは。
実際に使うにはお金も労力も必要だし。
仮にそうだとすれば、前者の場合でも、
単なる指摘では人は必ずしも動かない

大まかに2つに分けてはみたけれど、
レンズ交換で表現が豊かになるって、
誰でもある程度は想像できるでしょ。
情報が必要なら、ボディーでもいい。

そう考えると、キャッチフレーズは、
「背中を押す」の方を中心にしては

 

宣伝会議賞で陥りがちな問題

ここで突然、話はECCに飛びます。
SKAT掲載のECCの作品の多くは、
英語力の価値に気付かせる狙いらしい。
でも、それに気付けば人が動くのか?
そもそも、元々気付いてはいるのでは?
それでも人は動いていないのであって。

前回までのクレディセゾンもそう。
ポイントのメリットは知っているが、
それでも現金払いを続けている。

ECCが最後に出題した第52回では、
課題の本文は、こう始まっています。

 外国語をはじめたいけど、はじめられない人、多いんです。

応募作や審査にもこれが反映されたか、
一次審査通過作品の質は上がったような。
これはいい方向修正だったと思います。

全然違うジャンルの課題ではあるけれど、
本課題にも相似形の問題点がありそう。
応募者と審査員、自ら方向修正できれば。

 

◆シーンを描くとすれば?

必ずしも「交換」そのものを描かなくても、
ある非標準レンズの効果が伝わるシーンなら、
レンズ交換式に興味を持ってもらえるかな。
そのレンズだけってことはないはずだし。

ただ、あまり高度な例やややこしい例は、
カメラ初心者にとっては難しすぎるはず。
分かりやすい典型的な例を選択したい。
漠然と「素敵な写真」でも不十分だけど。

各種レンズの具体的な機能について、
参考になるサイトを挙げておきます。

http://c-camera.com/camera/page961.html
https://papacame.com/goodness-of-single-focus-lens

 

◆「背中を押す」に戻って

「背中を押す」ための方法はいろいろ。
決してシーンを描くだけではないはずだし、
ましてや、あるあるや自慢話だけじゃない。
挑戦する勇気が湧くようなアプローチを。

 

次回は、「6.牛乳石鹸共進社」。