宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 4.キッコーマン

「課題分析シリーズ」、第4回は、キッコーマン

 

◆ターゲットは海外の人?

オリエンを見て、びっくりしました。
「海外の方にどうお伝えするか」
課題からはまったく想像できません。
が、ここまで明示的に書かれれば、
そういう前提で応募・審査すべき。

まあ、9月に作っちゃった人には、
同情を禁じ得ないのですが・・・。

 

◆過去2回の課題と比較すると・・・

実は、過去2回の課題の主文言は、
今回とほとんど同じなんですよね。
たしかに、共通するテーマはある。
でも、「課題」(目的)は違うはず
明確に違う表現にするべきだった。

 

・第54回
 「世界の食文化をつないでいる」を、
 (おそらく)日本の人に伝える。
 「協賛企業のコメント」を見ても、
 こういう解釈で合っているはず。
 三次審査通過のコピー2作品は、
 過小評価されてしまったような。
 票を奪い合って共倒れしたかな。

・第55回
 しょうゆになじみのない海外の人に、
 「おいしさや使い方」を伝える。
 「協賛企業のコメント」とも整合。
 一次審査通過作品の中にはかなり、
 明らかに海外の人向けじゃないものも。
 ちゃんと課題を踏まえて審査してくれ。

・第56回(今回)
 「地球上の食文化をつないでいる」を、
 「海外の方にどうお伝えするか」という、
 第54回と第55回のミックスみたいな。
 出題企業側が混乱している可能性も?

 

◆では結局・・・?

今回の課題の目的を、どう捉えればいいのか?
「しょうゆは日本だけのものじゃないんだ」とか、
「自国でも世界各国でも日本食以外でも」とか、
認知を変えることで興味を持つきっかけに、かな。

具体性のレベルは、いろいろ考えられそう。
特定の事実に基づくものでもよさそうだし、
もっと一般的なことに基づくものもあり。

また、ターゲットが海外の人である以上は、
「しょうゆリテラシー」には期待できず
あまり細かい価値には入り込みすぎない方が。
ざっくり興味を高めるくらいでよいのでは。

無理に説得するような感じではなくて、
「楽しさ、驚き、意外な魅力などなど」
とあるように、感情に働きかけるものを。

 

◆主催社は事前に課題のチェックを

本課題の「海外の方」というターゲットは、
明らかに課題発表の段階で明示されるべき。
この辺りは、主催社が事前に確認すべし

他の課題の「特定事業ではなく企業全体を」、
なんかも、想像できる場合もあるけれど、
課題で明示してもらう方が助かりますよね。

誰か、宣伝会議さんに言ってくれないかな?

 

次回は、「5.キヤノンマーケティングジャパン」。