宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 1.オージス総研

「課題分析シリーズ」、第1回は、オージス総研

 

◆あくまでも「未来」

「未来」をどう解釈するかが最初の分岐点。

課題とオリエンから総合的に判断すれば、
既存の用途を伝えたいわけじゃなさそう

ただ、課題の主文言には、「未来」はない。
オリエンのポイント2の後半も気になる。
「市場・ターゲットの動向」を真に受け、
課題の方向性を考慮せずに書いただけか?
ポイント3の「アクセスしてもらえる」は?
これも「未来」っぽくない気もしますが。

既存の用途の利用者を増やす狙いのものは、
少なくとも主流であってはほしくないです。

宣伝会議賞ではよくあることなのですが、
応募者側の都合で課題を歪曲・矮小化し、
審査員もその傾向に流されるのは問題。

 

◆「未来」ってなんだ?

新規の用途を提案できれば話は早い。
利用者側が新たな使い方をするか、
専用に整備したサイトを作るか。

あるいは、世の中の変化を予測して、
サービスの役割を再定義するとか。

いずれの場合も、応募作の妥当性は、
審査員よりも出題企業の判断が優先。

 

◆会員種別や競合は?

どうせ「未来」を考えるのであれば、
現状の会員種別は気にしなくていい
大まかな機能は把握しておきたいけど。

競合は、かなりいろいろあるようで、
正直、調べ出したらきりがなさそう。
あまり細かい差別化は考えない方が
そこは企業側の方がよく分かるはず。
状況が変わる可能性だってありますし。
大きな未来像を描くことの方が優先

 

◆対象とするデータは?

メールに添付するには容量が大きい
という意味で、下限は2MBぐらい。
写真が入るようなもの、という程度。
上限は、サービスの容量制限を参照。

また、特定の相手に送るデータのはず。
広く一般に公開するのなら別の手段で。

 

◆既存用途の利用者拡大の場合は・・・

「未来」としては弱いと思いますが、
100%否定しきれない部分もあり。

まず、宣伝会議賞でありがちなのが、
添付ファイルに関する失敗を描くもの。
大容量のファイルを添付した結果や、
その後に起きる悲惨な結末とか、
そのバリエーションで数を出す。
私は、そういうのは拒絶します。

添付ファイルの容量の問題って、
ほとんどの人は知っているのでは。
特に、送るニーズがある人なら。
上記のような感じのコピーでは、
ごく一部の知らない人向けになり、
それ以外の大多数には無視される。

それに、仮に知らない人向けでも、
受け手をばかにしてもしょうがない
普通に教えてあげればいいのでは。

容量の問題は当然知っているんだけど、
まだ「宅ふぁいる便」を未利用の人に、
ほら、こう便利ですよ、と提案する
そういうスタンスが基本線ってことで。

 

◆「認知やサービス拡大の余地」はどこに?

オリエンのポイント2にある通りなら、
その「余地」ってどういうものだろう?
データを送るニーズはあるのだけれど、
宅ふぁいる便」は使っていない、と。

いわゆる競合から利用者を奪う以外では、
記憶媒体による手渡しの代替でしょうか。
この想定なら、手渡しに対する優位性を。

例えば、複数の相手にデータを送る場合、
記憶媒体を手渡しするより便利、とか。
でも、実際にどれくらいニーズがあるか?

この例はともかく、考え方としては、
まずは「余地」の具体的な想定が鍵

 

次回は、「2.OpenStreet (HELLO CYCLING)」。