宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 27.竹中工務店

「課題分析シリーズ」、第27回は、竹中工務店

 

◆矮小化厳禁

あべのハルカス、行ったことないけど、
ウェブサイトを見るだけで、すごいと分かる。

そこからさらに、なんと、「成長を図る」ですよ。
「まちづくり総合エンジニアリング企業」ですよ。
ありがちなエピソードなんかじゃ、逆効果でしょ。
出題企業を、ありふれた企業に貶めてしまう。

気付いたことを言うとか話を作るとかではなく、
「価値を最大化する」という、基本に戻るべし。

 

◆ターゲットを確認

オリエンのポイント2によれば、ターゲットは、
広く一般の人ではなく、「意識の高い人々」
企業広告の課題では、こういうのは珍しい。
この違いは、ぜひ意識しておきたいポイント。

受け手側の高い理解力を期待していいはず。
一般の人にはやや負荷が高め、ぐらいでも。
ややこしく、ではなく、高度でもいい、と。

また、他の多くの企業広告の課題とは異なり、
「サービス精神」はさほど重視しなくても。
テーマに元々関心がある人向けってことで。

 

◆「独自の視点と自由な発想」とは?

課題にあるこの文言、その「こころ」は?
別に、「山崎隆明さんが作りそうなもの」、
とかではないと思うのですよ(失礼!)。
いわゆる「おもしろい」ではなさそう。
私の解釈では、「埋もれない表現を」

課題の文言で言えば、「高い技術力」、
「時代の先駆け」、「チャレンジ」等、
そういうのは間違ってはいないけれど、
あまりにも使い古されてしまった結果、
実質的な効力を既に失っている状態。
そうではない、新鮮な表現が欲しい
未来を創っていくための課題ですし、
表現も、これまでになかったものを。

 

◆オリエンを消化して

とはいえ、伝えるべき「企業姿勢」は、
当然、出題企業が目指す方向に縛られる。
具体的には、オリエンのポイント3

ポイント3を消化することができれば、
ポイント4の要求は自然に満たせそう。
むしろ、ポイント4を意識しすぎると、
表現が陳腐になりやすいような気が。

また、「いずれか」とはありますが、
両方一気に伝われば、それもありでは。
詰め込みすぎは禁物なのでしょうが、
上記のターゲットの特性を考えても、
狙ってみる価値は十分ありそうです。

 

◆全般性を維持しつつ解像度を上げる

既存のまたは未来の可能性の事例では、
それが何の事例なのかが伝わりにくい
その事例がそうであるというだけでは、
「企業姿勢」は明確にはならないのでは。

また、既存の事例自体は、企業自身が、
普通に紹介すればよさそうな気もするし、
一方、未来の可能性の事例だけでは、
蓋然性が低かったり漠然としていたり。

全般性はあった方がいいんじゃないかな。
それでも埋もれないだけの表現の解像度を。

 

◆企業スローガンを上書きせよ

宣伝会議賞における「キャッチフレーズ」は、
狭義の意味でのそれではなさそうですよね。
過去には企業スローガンの課題もあったし。

思い切って、企業スローガン狙いもありか。
現在の「想いをかたちに 未来へつなぐ」、
失礼ながら、企業の実像より小さいし弱い
企業スローガンなら上記の全般性もあるし、
「成長を図る」上で重要なものでもあるし。

もちろん、狭義の「キャッチフレーズ」でも、
機能すればそれでいいんですけどね・・・。

 

次回は、「28.チョコレートデザイン」。