第56回宣伝会議賞 課題分析 28.チョコレートデザイン
「課題分析シリーズ」、第28回は、チョコレートデザイン。
◆食べてみた印象
この商品、実際に買って食べてみました。
すると、課題の写真とはちょっと違う印象。
「外はさくっと、中はとろっと」みたいな、
私はそういう感じを想像していましたが、
実際には「外はがりっと、中はがしっと」、
は言い過ぎとしても、けっこう硬めです。
公式企業サイトの商品写真の方を参考に。
女性向けだからか、サイズは割と小さめ。
チョコの味は濃厚で、おいしかったですよ。
◆基本的な方向性
オリエンのポイント1について考えます。
ターゲットは、「まだ知らない人たち」。
「多くの方々に強い印象を与えるような」、
は、当然かもしれませんが、非常に重要。
あちこちで見かける商品ではないですし、
記憶に残ることは絶対条件でしょうね。
伝えることは、「商品がどのようなものか」、
となっていますが、ここの解釈は難しい。
商品写真と簡単な説明ぐらいは入る前提で、
味や食感についての解像度を上げるのか、
どんな状況や想いに合うかを提示するのか。
後者の方が作りやすそうではあるけど・・・。
◆具体性のレベル
抽象的過ぎると自分事化されにくいけれど、
特殊すぎない、それなりの一般性は欲しい。
「多くの方々」が自分を投影しやすいもの。
個別的な「エピソード」の細部を捨象して、
「想い」に相当する部分だけを残すとか。
個々の受け手の想像力で補完するような。
まだ認知度が低そうな商品でもありますし、
いきなりニッチな印象を与えてしまうより、
まずはざっくり広く認知されたいのでは。
◆「重すぎない愛」
日常的に食べるにはちょっと高いですから、
「ギフトや自分へのご褒美」は分かります。
その背景にある想いを、最大化したい。
でも、あくまでも、チャーミングにね。
深刻すぎる感じにならないように注意。
◆「チョコレートで世界を幸せに」に沿って
変な話、食べない人でも幸せになるコピー、
それがこの商品らしいんじゃないかな。
結果的に商品への支持にもつながりそう。
「フェアトレード」は、背景にとどめたい。
拒絶しない理由より、好きになる動機付けを。
◆商品を引き立てる
これは決して本課題だけではないけれど、
商品とセットにして商品がより輝くか。
当然のことだけど、忘れがちのような。
ちっちゃくてかわいい感じのこの商品に、
長くてうっとうしい感じのコピーは有害。
「コピーが」主張しすぎるのは感心しない。
「商品が」ちょっと自己主張する感じで。
◆食べずに審査できるか
皆さんは、ここ、気になりませんか?
食べたことがない人に効く必要がある。
じゃあ、選ぶ人は食べなくていいのか?
実務でCDとしてコピーを選ぶとして、
食べずに選ぶとは思えませんが・・・。
それに、食べてみて納得できる必要も。
特に、味や食感がポイントのコピーは。
期待が満たされなければ、それまで。
「固有名詞性(?)」も高そうですし、
この商品だからこそ成立するかどうかは、
審査の重要なポイントなのでは・・・。
ただ、審査員に自腹を切れというのも変。
一次審査員の報酬、高いとは思えません。
担当審査員にはサンプルを提供するとか、
主催社が気を利かせてくれればいいけど。
まあ、全ての課題では無理だとしても。
次回は、「29.ディーエムソリューションズ」。