宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 53.ロイヤリティ マーケティング (Ponta)

「課題分析シリーズ」、第53回は、ロイヤリティ マーケティング (Ponta)

 

◆ポイントカードあれこれ

競合等の情報は、以下のウェブページをご参考に。
主要競合は「Tポイント」と「Rポイント」、
「dポイント」は同じ陣営で相互連携の関係。

https://diamond.jp/articles/-/63111

 

◆「言っといてや」なのか?

オリエンで突然出てきたように思われる、
「機能面を打ち出すのではなく」ですが、
実務的に考えれば想定できた人もいたかも。

共通ポイントカードはかなり普及しており、
多くの人は少なくともどれかは持っている。
Pontaだけでも、会員数は8800万人。
日本の人口を考えると、かなり大きい数字。
共通ポイントのメリットは、ほぼ認知済。

ならば、新規の会員を獲得すること以上に、
利用率を上げることの方が課題になりそう。
それが「Ponta1枚に」の「こころ」では。
細かいメリットの違いで差別化を狙うより、
「愛着を持っていただく」方向性は妥当

実際、Pontaの公式ウェブサイトを見ると、
かなり濃厚にキャラが設定されています。
また、「バファローズポンタ」も話題に。

というわけで、オリエンのこのポイントは、
出題企業にとっては必然で必須と思われます。
共通ポイントの分かりきったメリットを、
わざわざややこしく言ったりしないように。

 

◆完全にキャラクターに振り切ってもいいのか?

「鶏が先か卵が先か」で悩んだ課題36を思えば、
サービスの中身に縛られなくてよければ清々しい。
が、いざ自由を与えられると、それはそれで不安。

でも、少なくとも「愛着」の方を優先すべきだし、
それこそ「バファローズポンタ」的な大喜利とか、
それくらい振り切るつもりでもいいと思います。
ただ、何かしらの「自分事化」は欲しいかな。
バファローズポンタ」は、ファンだからこそ。
広く一般に「自分事化」してもらうという意味で、
何かポイントサービスと関連があってもよさそう。

 

Pontaのセリフ推奨

キャッチフレーズなら、これが分かりやすい。
説明的なのは、キャラとの結び付きが弱そう。
人間じゃないので、思い切ったセリフを。

 

◆ちなみに・・・

先程、自宅の向かいにあるお店の前で、
Pontaが、わしゃわしゃ動いていました。
手足が短いので、動きに制約が・・・。

 

次回は、「54.和田興産」。

第56回宣伝会議賞 課題分析 52.ヤフー

「課題分析シリーズ」、第52回は、ヤフー

 

◆入社か協業か?

課題を見て、まず気になったのがこの点。
この疑問に対しては、出題企業の担当者が、
この記事で答えてくれているのですが・・・。

https://www.advertimes.com/20181024/article279124/

いや、そんなことまで考えられる人なら、
自分で作った方がいいのができるのでは。
私がこの人の上司なら、自分で作らせます。
宣伝会議賞の応募者より絶対有能ですよ。
外部からのヒントをというのは分かるけど。
もちろん、出題には感謝しますが・・・。

 

◆スケールを大きく

まず、課題のこの文言に相応しいものを。

 情報技術で人々の生活を前進させ、
 日本を「UPDATE」していく

ITが絡めば何でもいいわけじゃない。
低レベルの問題は、他の企業がやること。
第54回の出題も、背景として参考に。

 

◆細かい話に入り込みすぎない

細かい事例では、大きな像が見えにくい。
技術は多岐に渡りそうだし、未知のものも。
ターゲットは能力も意識も高い人のはずだし、
細部は各自に想像してもらえばいいのでは。

 

◆技術者の想いを想像しているか?

上記の記事で言及されている「技術者魂」
応募者や審査員はどれくらい考えているか。
「見た瞬間に分かる」と言ってる審査員、
こういう課題でもそれは本当に妥当なの?
ターゲットのことを想像できるとしても、
ある一面だけを想像できているだけでは?
本当は、「見た瞬間に分かる」程度の事しか、
考えたことがないだけだったりして・・・。

「経験があるから分かる」と言う人より、
「分からないことをちゃんと考える」
そういう人の方を、私は信用します。

審査に費やせる時間の制約があるとしても、
最低限考えるべきことはあると思うのです。

 

◆第54回の課題と結果と出題企業の反応

これもまた、上記の記事に書かれている話。
第54回の結果を受けての企業の反応がこれ。

 対象者、アピールしたい内容をもっと絞り込んだほうが
 応募者の方にとっても作品をつくりやすくなるのでは

確かに、それ自体はその通りでしょう。
ただ、それは出題の問題というよりは、
宣伝会議賞側の対応力の問題なのでは。
応募者と審査員の対応力の幅の狭さ。
目的を明確にせず、作用機序も考えず、
課題の性質に関わらず細部に走りがち
そんな傾向に対する反省の欠如の帰結。

また、宣伝会議賞とコピーライター一般では、
相似形かはともかく、相関ぐらいはありそう。
企業広告のCMが特につまらなく思えるのは、
太い軸になるコピーを作る人が足りないのでは。
そういうニーズに取り組んでいるかすら怪しい。

本来なら、宣伝会議賞でそこを修正したい。
が、プロが解決できない課題をプロが審査し、
応募者の多くがその基準を受け入れてしまう。
結果、バイアスがバイアスを強化する悪循環

日本のコピーライティングも、UPDATEしませんか?

 

次回は、「53.ロイヤリティ マーケティング (Ponta)」。

第56回宣伝会議賞 課題分析 51.メルカリ

「課題分析シリーズ」、第51回は、メルカリ

 

◆用例を出せばいいのか?

課題3や課題14と課題のタイプが似ている、
そう考えた人も多いのではないでしょうか。
あくまでも用例の提示が中心になるような。

カクイチやサマリーは、用例から価値が自明。
「ホースでこれをする」は、便利さや楽しさ。
「これを保管する」は、スペースが空くこと。
多くの場合、用例自体でベネフィットも伝わる

でも、本課題はちょっと違う気がするのです。
もちろん、「不用品を売ってお金にできる」、
それだけなら用例自体で伝わるのですが・・・。

 

◆オリエンのポイント3の趣旨

課題自体は、かなりざっくりした形での出題。
が、オリエンではもう少し方向性が出ていて、
出題企業が期待が表れているのはポイント3。

 メルカリはプラットフォームであり、
 さまざまな使われ方をしています。

これは、「不用品を売れる」のイメージだけど、
可能性はそれだけじゃない、と解釈できそう。
「C to C のマーケット」と広く捉えてみたい。

 私たちも気づいていないような
 メルカリの面白さ・ベネフィット

これも、上記の解釈と整合性がありますね。
用例自体より、その価値は何かを提示したい。

 

◆「不用品を売れる」は・・・

課題とオリエンの文言を素直に解釈すれば、
これも100%拒絶するべきではなさそう。

ただ、提案価値が高いかどうかは微妙ですね。
出題企業が普通に言えば済むのかもしれないし、
また、ある種の使い方は既に普及しているかも。

応募期間終了後ですが、こんなテレビ番組が。

池上彰vsニッポンの社長100人大集結!SP』(テレビ東京

メルカリの小泉文明社長も出演されていました。
一視聴者のブログですが、発言内容のまとめ。

https://www.gr8lodges.com/107935.html

売る前提で(実質差額分で)購入するとか、
高級品ではないユニクロの服を売るとかは、
既に実践者も多く、企業側も把握している。
もちろん、まだ拡大の余地もあるでしょうが、
提案価値は現状との「差分」ということに。

 

◆既存事例 vs 新規提案

出題企業も把握している既存の事例でも、
そこから新たな価値を読み取ることも可能。

もちろん、新規の使い方自体の提案でも。
ただ、事例の奇抜さを狙うのではなく、
一般性のある価値を提示できるかが問題。

 

◆具体例 vs 一般論

具体例は、直接受け手にヒットしないなら、
受け手の側で一般化することが必要になる。
「具体例→一般論→自分事化」という経路。
それなら一般論から入った方が効率的かも。
ただ、「具体例→一般論」が自動的なら、
具体例の方がイメージは湧きやすいのかな。

 

◆「リアルを伝える」

課題に書かれたターゲット像にの文言を読むと、
「なんとなく距離を置いていた人」とも解釈可。
それだけに、うさんくさい感じだけは避けたい
実際に人を動かすには「ワクワク感」も欲しい。

 

次回は、「52.ヤフー」。

第56回宣伝会議賞 課題分析 50.明治座

「課題分析シリーズ」、第50回は、明治座

 

◆「認知度100%」とは?

課題の文言は、少なくとも一旦は真に受けたい。
ただ、本課題では母集団がいまひとつ不明確。
課題の主文言の「全国での認知度が」からは、
「世代を問わず日本全国で」と考えられますが、
その母集団で本当に認知度60%もあるのかな?
また、文字通りの「100%」は非現実的では。

とはいえ、その「こころ」は分かりますよね。
「東京タワーや東京ドームと同じ程度」でしょ。
ちゃんとこの目標を頭に入れて制作しないと。

 

◆現状打破を目指して

出題企業の調査が妥当だとすればですが、
60%という低くない認知度が既にある。
これは、飽和状態に近い数字なのでは。

ありきたりなものでは、壁は越えられない。
「それで認知されるなら既にされている」
みたいなのは無効と思っておいた方がいい。

 

◆キャンペーン向きのものを

さらに、「認知度100%」を目指すのなら、
継続的なキャンペーンはほぼ必須なのでは。

「100%」と言えば、認知度ではないけど、
第53回出題のエヌ・シー・エヌの課題。
これも、本気で課題解決を考えるのであれば、
キャンペーンコピーがまず必要だったのでは。
実際、出題企業が協賛企業賞に選出した作品は、
一次審査通過作品の中ではその基準に合うもの。

応募者や審査員は、そこをどう考えているのか。
「いろいろつぶやく練習」と思っているのかな。

 

◆広告を見ない人でも

また、「認知度100%」には、拡散も必要
人に話したくなるとか流行語になりそうとか、
何かしらそういう要素を組み込んでおきたい。
大手メディアでの露出は絶対的に必要なはず。

日常的な露出機会の獲得までつながれば最高。
東京タワーや東京ドームは、それができてる。
そこまで行くには圧倒的な存在感が必要ですが、
それを目指さなければ目標達成は無理でしょ。

 

◆中身については・・・

文化放送ラジオCMコンテストの「聴戦ガイド」をご参考に。

http://philosophies-of-ska.hatenablog.jp/entry/2018/11/13/220000

 

◆「こじんまり」禁止

飽和気味の現状と高い目標設定を考えれば、
小さい話じゃ目標は達成できないはずでしょ。
太い軸のあるキャンペーンを設計してほしい。
その観点からは、本課題は作品意図も重要。
なぜその軸なのかとか、軸の周りのこととか。

 

次回は、「51.メルカリ」。

第56回宣伝会議賞 課題分析 49.三菱一号館美術館

「課題分析シリーズ」、第49回は、三菱一号館美術館

 

◆ターゲット

「普段、美術館に行かない」ことに加えて、
「丸の内に縁がある」でいいんじゃないかな。

これまで美術館に興味がなかった多くの人が、
いきなり全国からこの美術館に殺到する、
というのは、さすがにハードルが高すぎる。
それに、立地を無視して集客するとなると、
より「美術」に踏み込まざるを得なくなり、
美術館に行かない人には共感しにくくなる。

せっかく昼間人口が多いエリアでもあるし、
「立ち寄ってもらう」ぐらいのイメージで。

また、オリエンには「若い世代」とあります。
典型的には、丸の内で働く若い人たち、かな。

 

◆他の美術館との違いを意識するか?

東京駅周辺には他にも4つの美術館があり、
立地だけなら、それらの美術館にも該当。
でも、そこは気にしなくていいと思います。
むしろ、それらの美術館とは連携関係にあり、
「競合」というより「協働」しているわけで。
なんなら、5館共同で広告を出してもいい。

 

◆割引系は・・・

いくつか、お得な割引制度がありますね。

まず、年間7500円の「サポーター制度」
本人と同伴者1名が、何度でも入館可能に。

また、毎月一度の「アフター5女子割」では、
17時以降の女性の入館料が1000円に。
プラス、食事割引などの特典もあるらしい。

おすすめは、「東京駅周辺美術館共通券」
2500円で東京駅周辺の4館を一度ずつ。

ただ、本課題の出題の趣旨を考えると、
経済的メリット中心のものは避けたい。
そもそも行く習慣がないわけですから、
いくら割引があろうが足が向きにくい

絡めるのはなくもないかもしれないけど、
出題企業が期待しているものではなさそう。

 

心理的な何か

「新しい私に出会う」がスローガンですから、
それにふさわしい、心理的な変化への期待を。
上記のようなターゲット像を想定するならば、
「美術」自体に入り込み過ぎるのは避けたい。

また、説得系も本課題には相応しくなさそう
「新しい美術館の楽しみ方のヒント」という、
オリエンのポイント1にある観点で考えると、
新たなメリットの提示は価値はあるんだけど、
「行くべき」と言われて行くものでもないし、
「行ってみない?」ぐらいにできないかな。

 

◆新鮮味

とはいえ、ありきたりなものでは埋没しそう。
例えば、「落ち着く」をややこしくてもねえ。
気持ちがどう変化するのか、新鮮な表現で。

 

◆「一人称未来/現在完了(?)」推奨

美術館に行かない人がターゲットですから、
美術館に行く人が「一人称過去」で語るのは、
受け手の過去の経験に共感の基盤がないのでは。

また、心理的な変化に焦点を置くとすれば、
「二人称」や「三人称」も効きにくそうな。

となると、「一人称未来」が有力でしょうか。
「私はこうなりたい」という受け手の想いを、
美術館を訪れることに重ねるような感じの。

もっと言えば、「一人称現在完了(?)」とか。
よく行く人の「過去の経験」を語るのではなく、
初めて行った人の「いまの想い」を語るような。
心理的な変化が起きたその瞬間」ですね。

 

◆品位を落とさぬよう

宣伝会議賞では、よく軽視されがちな問題。
特に本課題では、品位の欠如は致命的にも。

例えば、「デートに誘う云々」もあっていい。
ただ、あくまでも「美」を損なわないように
それを見た女性が拒絶したくなるものは不可。

その他の非心理的メリットを提示する場合でも、
世俗的すぎる印象にならないよう注意したい。

 

◆プレゼントにも

上記の「サポーター制度」のパンフレットでは、
プレゼントとして贈ることも想定されています。
また、嫌がる部下を無理に飲みに誘う代わりに、
上記の「共通券」を贈る上司がいたら素敵では。

この場合、広告とサービスでターゲットが違う。
ただ、それでも贈られる側への意識を大切に
「贈りませんか」は、普通に言えばいいでしょ。
むしろ、一緒に贈るメッセージを言語化したい

「部下にこれを贈った。見る目が変わった。」
とかは、贈ること自体はセンスがよくても、
そのコピーがセンスが悪いじゃないですか。

包装用の封筒に載せるコピーを考えるとか。
この想定なら、「人称」はどうするべきか。
贈る側の「一人称」、贈られる側の「二人称」、
つまり、贈る側が贈られる側に発することば
というのがオーソドックスになるのかな。
広告の受け手にとっての「一人称」になるし。

ただ、贈られる側の「一人称」にした方が、
重くなりすぎなくていいような気もします。
これでも、贈る側にも効きうると思います。
広告の受け手が投影するのは自分とは限らず、
プレゼントを贈りたくなる相手であることも。

 

次回は、「50.明治座」。

第56回宣伝会議賞 課題分析 48.三井製糖

「課題分析シリーズ」、第48回は、三井製糖

 

◆課題は「新商品」

課題は「パラチノース」自体ではないので注意。
例えば井村屋の「スポーツようかんプラス」とか、
そういうのを持ち出すのは課題から外れていそう。
「次世代のスタンダード」にふさわしいものを。

 

◆どこまで言えるのか

課題やオリエンにも明記されている通り、
言えることにかなりの制約があります。

それでも、いわゆる「スローカロリー」
すなわち、ゆっくり吸収・消化されること、
そこまでは言えるし、そこを伝えるべき。
ウェブサイトのパラチノースの情報でも、
この線に沿った説明になっていますし。

また、ターゲットの属性を考慮すると、
ある程度の関心と知識を期待できる
それが体にいいことは理解されそう。

 

◆怪しい作り話は不可

「直接的に効能効果を保証するような表現」
がダメなら、効能効果から派生する話もダメ
そのバリエーションをいくら考えてもムダ。
「砂糖を変えた。○○になった。」みたいな、
一般性や蓋然性を感じさせない文体は特に。
実際には一般性も蓋然性もある内容でも。

 

◆商品名を狙え

本課題の商品、商品名は未定なのでは。
ならば、商品名にもなれば価値が高そう

ちなみに、そこで思い出したのが、これ。

『北のいいとこ牛(ぎゅ)っとバーガー』
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2016/promotion/promo0222a.html

あれ、応募数が宣伝会議賞の約10倍・・・。
これ、「名前募集」の公募だったのですが、
キャッチフレーズとしても機能しそうでしょ。
宣伝会議賞では高く評価されなさそうだけど。
商品の特長も商品に込めた想いも伝わるし、
特殊ではないけど、特別感がありませんか?

「次世代のスタンダード」を目指す本課題では、
特別感をどれくらい出すべきかは微妙だけど、
特長が伝わる親しみやすい商品名を作れば、
実はキャッチフレーズにもなっているかも。

 

次回は、「49.三菱一号館美術館」。

第56回宣伝会議賞 課題分析 47.富士通

「課題分析シリーズ」、第47回は、富士通

 

◆ポジティブ側かネガティブ側か

この点についての私の基本的な考え方は、
問題の認知度が低ければネガティブ側
問題の存在が理解されないと伝わらない。

じゃあ本課題はどうかと言えば、微妙。
判断の根拠を説明できないというのは、
AIに関するメジャーな論点のひとつ
何となく聞いたことがある人が多そう。
でも、いきなりお茶の間にCMが流れて、
一般の人が即座に理解できるかは怪しい

とはいえ、問題を否定的に描くだけでは、
解決策のイメージが湧きにくんじゃないか。
本来はポジティブに解決策の側を描きたい
が、やってみると、これが難しいんですよ。

通常のAIの問題を描かざるを得なさそう。
その上で、解決のイメージを与えられるか。

 

◆AI自体を否定しない

根拠の説明と推定の妥当性とは別問題
通常のAIが重大な過ちを犯すシーンを、
おどろおどろしく描くのはいただけない。
Zinraiの活用の可能性を広く伝えるよりも、
AI一般の活用を妨げる懸念の方が大きい。

もちろん、過ちの可能性はあるのですが、
人間なら過ちを犯さないわけではもない。
専門家が『Zirai』と協働した場合でも。

「根拠の説明」にフォーカスするためにも、
推定自体は妥当な場合を例にした方がいい。

 

◆『Zinrai』の思想

「説明可能なAI」という特徴だけでなく、
背景にある思想も頭に入れておきたい。
鍵になりそうな文言を拾ってみました。

 人と協調する、人を中心としたAI
 人の判断・行動を"スピーディ"にサポートすることで、
 企業・社会の変革を"ダイナミック"に実現させる

何となく「非人間的」と思われがちなAIを、
人間による意思決定のサポート役と位置づけ、
AIの適用領域を拡大していくということかな。

ここを表現するのが難しいのですが・・・。

 

◆スルーされないように

出題企業が現段階で想定している主要適用分野は、
「ヘルスケア、金融、コーポレート」とのこと。
この分野での適用シーンを描くのが正攻法かな。
難しめの課題だし、特殊な発想は分かりにくいかも。

ただ、あまりにも都合のいい作り話はねえ・・・
頑固社長が「AIは信用できん!」とか言って、
専門家が出てきて判断の根拠を提示したら突然、
「おお、それは安心だな!」みたいな感じの。
そういうCM、割とよく見かける気がしますが、
見れば見るほどうさんくさいイメージが・・・

オリエンにも「目立つ、面白い」とありますし、
そうじゃないものへの挑戦も見てみたいです。

 

◆AIへの態度

人間とAIならAIの推定の確度の方が高い、
そういう領域は、今後ますます増えていきそう。
でも現状では、なんとなくAIは信じにくい
だからこそ、『Zinrai』なのでしょうが・・・。

今回の課題からは外れるかもしれませんが、
人間のAIに対するその態度は合理的なのか?
人間が推定して説明すればそれでいいのか?
合理性だけで割り切る必要はないと思うけど、
そもそも何を拒絶しているかを見極めることで、
新たなAI観や人間観が生まれるかもしれない

人間には想像困難な仮説をぱっと見せてくれる
私は、AIのことをそういう風に捉えています。
その可能性を最大限に活用するために何が必要か?
そんなことまで考えさせられる課題でした・・・。

 

次回は、「48.三井製糖」。