宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 51.メルカリ

「課題分析シリーズ」、第51回は、メルカリ

 

◆用例を出せばいいのか?

課題3や課題14と課題のタイプが似ている、
そう考えた人も多いのではないでしょうか。
あくまでも用例の提示が中心になるような。

カクイチやサマリーは、用例から価値が自明。
「ホースでこれをする」は、便利さや楽しさ。
「これを保管する」は、スペースが空くこと。
多くの場合、用例自体でベネフィットも伝わる

でも、本課題はちょっと違う気がするのです。
もちろん、「不用品を売ってお金にできる」、
それだけなら用例自体で伝わるのですが・・・。

 

◆オリエンのポイント3の趣旨

課題自体は、かなりざっくりした形での出題。
が、オリエンではもう少し方向性が出ていて、
出題企業が期待が表れているのはポイント3。

 メルカリはプラットフォームであり、
 さまざまな使われ方をしています。

これは、「不用品を売れる」のイメージだけど、
可能性はそれだけじゃない、と解釈できそう。
「C to C のマーケット」と広く捉えてみたい。

 私たちも気づいていないような
 メルカリの面白さ・ベネフィット

これも、上記の解釈と整合性がありますね。
用例自体より、その価値は何かを提示したい。

 

◆「不用品を売れる」は・・・

課題とオリエンの文言を素直に解釈すれば、
これも100%拒絶するべきではなさそう。

ただ、提案価値が高いかどうかは微妙ですね。
出題企業が普通に言えば済むのかもしれないし、
また、ある種の使い方は既に普及しているかも。

応募期間終了後ですが、こんなテレビ番組が。

池上彰vsニッポンの社長100人大集結!SP』(テレビ東京

メルカリの小泉文明社長も出演されていました。
一視聴者のブログですが、発言内容のまとめ。

https://www.gr8lodges.com/107935.html

売る前提で(実質差額分で)購入するとか、
高級品ではないユニクロの服を売るとかは、
既に実践者も多く、企業側も把握している。
もちろん、まだ拡大の余地もあるでしょうが、
提案価値は現状との「差分」ということに。

 

◆既存事例 vs 新規提案

出題企業も把握している既存の事例でも、
そこから新たな価値を読み取ることも可能。

もちろん、新規の使い方自体の提案でも。
ただ、事例の奇抜さを狙うのではなく、
一般性のある価値を提示できるかが問題。

 

◆具体例 vs 一般論

具体例は、直接受け手にヒットしないなら、
受け手の側で一般化することが必要になる。
「具体例→一般論→自分事化」という経路。
それなら一般論から入った方が効率的かも。
ただ、「具体例→一般論」が自動的なら、
具体例の方がイメージは湧きやすいのかな。

 

◆「リアルを伝える」

課題に書かれたターゲット像にの文言を読むと、
「なんとなく距離を置いていた人」とも解釈可。
それだけに、うさんくさい感じだけは避けたい
実際に人を動かすには「ワクワク感」も欲しい。

 

次回は、「52.ヤフー」。