宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 12.構造計画研究所

「課題分析シリーズ」、第12回は、構造計画研究所

 

◆特定の事業か企業全体か?

今回出題されているいくつかの課題では、
「特定の事業/ブランドに偏らない」
という指示がオリエンで出されています。

本課題でも、明示的な指示こそないものの、
「企業全体を」というニュアンスはあり
特定の事業なら、知らない人が多くても、
社員なら説明はできそうですもんね。
それぞれの事業の内容も、その価値も。
伝え方の巧拙はともかくとすれば。

というわけで、事業全体をテーマに
各事業の作り話を量産するのではなく。

 

◆言い当てを基に

言い当てるのがコピーではないけれど、
この課題は言い当てがベースに必要か。

事業の内容を言うか価値を言うか、
両者の境界線はかなり微妙だけど、
前者なら後者を、後者なら前者を、
示唆ぐらいはしていた方がいいかな。

多くの企業に該当しそうなことは不可
「知られていないが実はすごい」とか。
その程度でいいなら、出題自体が不要。

単なる「オムニバス(?)」も避けたい。
「あれもやっている。これもやっている。」
とかは、ややこしく言い換えているだけ。

 

◆「面白そうな会社」は必須

課題7の分析でも書いていることですが、
この手の指示は、真に受けるべきでしょう。
多くの企業広告はスルーされてそうだし。

内容だけでなく、表現面での工夫も欲しい。
「コピーは大喜利ではない」のだとしても、
大喜利が有効になる課題もあるんじゃないか。
特に、「ベネフィット」がない企業広告では、
サービス精神はむしろ重要だと思っています。
伝えたいことがちゃんと面白く伝わるような、
「目的を達成する大喜利をやればいいのでは。

 

◆「つぶやき」への違和感

宣伝会議賞では、課題の性質を考慮せず、
なんでもかんでもつぶやく傾向が一部に。
「いったい誰がそれをつぶやくのか?」
と、つっこみたくなることもしばしば。

「年賀状は、贈り物だと思う。」は、
受け手になりかわってつぶやいてる。
受け手にとっての「一人称」ですね。
受け手が広告に自分を投影する感じ。

一方、企業側のことばをつぶやくのは、
私にはかなり強い違和感があります。
広告だからかまってほしいはずですが、
なぜか受け手の目を見ずにつぶやく。
内容によっては例外もあるとしても、
そこは「二人称」の方がいいのでは

この課題は、つぶやく課題ではなさそう。
社員が受け手に対してつぶやくのも変だし、
「社員さえ説明するのが難しい」ことを、
一般の人がつぶやくとは考えにくいので。

 

次回は、「13.さくらインターネット」。