宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 18.JVCケンウッド

「課題分析シリーズ」、第18回は、JVCケンウッド

 

◆『会社四季報』のすすめ

今回は、企業広告の課題が多いですね。
宣伝会議さんの努力もあるでしょうが、
人材不足の影響も反映されていそう。
だとすれば、この傾向は続くかも。

出題された企業の現状を知る上では、
会社四季報』が参考になることも。
証券会社によっては、証券口座開設で、
無料で読めるようになる場合もあり。

 

◆『会社四季報』によると・・・

2018年秋号から、出題企業の情報を。
売上構成は企業ウェブサイトにもあるので、
それ以外のめぼしい情報を拾ってみます。

 市販製品絞り込み、業務用システムと車載機器に重点

 柱の車載で好採算のドラレコや音響機器の
 欧米法人向けOEM躍進、営業益拡大。
 
イメージと違っていた人も多いのでは。

 

◆あくまでも「企業ブランド」

音響機器の印象が強いこの企業ですが、
実際はそれは事業の一部に過ぎません。
企業ウェブサイトの売上構成を参考に。

オリエンの、「製品ブランドに偏らない」
ここでの「製品ブランド」はおそらく、
JVC/KENWOOD/Victor」のことでしょう。
どのブランドでも音響機器は扱っており、
音響機器限定でも、文字通りに解釈すれば、
「製品ブランドに偏らない」には反しません。

が、課題全体のニュアンスを受け止めれば、
音響機器限定では出題意図に合わないはず。
実質的には「製品ジャンルに偏らない」で。
「企業ブランド」と課題にありますしね。

 

◆材料が少ない・・・

主な材料は、オリエンのポイント2でしょう。
が、ほぼどこの企業でも言いそうな内容で、
特徴に乏しいと言わざるを得ませんね・・・。

出題の仕方が悪かったわけではなさそう。
こういう出題にならざるを得ないこと、
それがこの企業の課題なのでしょう。

 

◆方向性は?

「感動と安心を世界の人々へ」に沿って、
もう少し解像度を上げて印象的にしたい。
中途半端なものより、思い切ったものを。

また、「企業ブランド」の広告ですから、
個別的なエピソードみたいなのじゃなくて、
大きな世界観を描いてみてほしいですね。

とはいえ、キャッチフレーズは苦しそう。
CM、特に、テレビCMに可能性ありか。
映像の力でイメージを補強できるので。

 

◆「!」は何か意味があるのか?

情報が少ないので、一応調べてみましたが、
特にこれに深い意味があるわけではなさそう。

調査の過程で偶然見つけた企業ロゴの資料を紹介。

http://technodocbox.com/Desktop_Publishing/75985633-Corporate-logo-however.html

ちなみに、課題左上の企業ロゴのデザインは、
いくつかあるバリエーションのうちのひとつ。
また、企業カラーの名は、"Innovation Blue"
とにかく情報が少ないので、せめてもの。

 

◆「数を出す」ことの意味

例えばカクイチやサマリーとこの課題とでは、
「数を出す」ことの意味が違うと思うのです。
「数を出す」を全面否定まではしませんが、
その辺りもちょっと考えてみてはいかが?

 

次回は、「19.清水建設」。