宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 42.パナソニック

「課題分析シリーズ」、第42回は、パナソニック

 

◆出題企業の現状

大雑把にいえば、家電から車載や住宅へシフト中
車載事業では、特に車載電池への期待が大きい
この辺りは、いろいろ検索してみてください。

 

◆「幅広い事業フィールド」の真意は?

幅の広さ自体を言いたいわけじゃないような。
上記の現状を踏まえて、家電のイメージよりも、
車載等の成長事業や将来の可能性のイメージ
安定志向よりも挑戦志向、そういうことでは。
オリエンのポイント2と合わせて考えれば。
それに、幅の広さ自体は別に魅力的でもないし。

とはいえ、家電は現在でも主力事業のひとつ。
出題側としては、そこは捨てきれなかったか。
結果的に、方向付けが弱くなっている印象。

 

◆「一人称過去」は・・・

課題34の分析でも扱った、「人称」と「時制」。
本課題でも、「一人称過去」はしっくりこない
現役の社員が遠い目をしてつぶやくみたいな。
自己投影の基盤となる過去の経験がないわけで。

受け手がまだ知らないことを知らせるわけでしょ。
「二人称」で呼びかけるのが普通じゃないかな。
まあ、「一人称未来」も、なくはないだろうけど。

それに、パナソニックの社員でもないのに、
作り話を語ってもしょうがないと思いますよ。
語り手の属性があいまいな場合はともかく、
社員が語る場合は、実在/不在が明確なわけで。
エピソードは出題企業自身が探せばいいこと。

 

◆埋もれない表現を

オリエンのポイント2の内容が中心になりそう。
ただ、使い古された陳腐な表現では伝わらない。

企業スローガンでいくら"innovation"と言っても、
革新的なイメージを持ってもらえるわけじゃない。
同様に、「夢」「挑戦」「世界」を語っても、
それが受け手をインスパイアするかは別ですよね。

ここはぜひ、「企業人格」を想定してみたい。
挑戦を呼びかける何らかのセリフにするとして、
それは「挑戦者」が言うセリフになっているか?
「挑戦について話す人」が言うセリフではなく。

 

次回は、「43.ハピネット」。