宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 9.グルメ杵屋

「課題分析シリーズ」、第9回は、グルメ杵屋

 

◆そば以外は?

店舗の立地や時間帯にもよるでしょうが、
私が平日の昼間に行ってみた店舗では、
カレーとかをけっこう推してました(笑)。
でも、わざわざ宣伝会議賞に出題して、
カレー推しのコピーやCMはなしでしょ。
来店した客の選択肢としてはいいとして、
広告を出してまで伝えることではないはず。

「お酒と逸品料理」は、ありでしょうね。
課題でもオリエンでも言及されているし、
夜はむしろ、そっちが中心になるのかな。
「そば屋」に必ずしもこだわる必要はなし。

ただ、そばにもちゃんと取り組んでほしい
そっちの方が難しそうではあるのだけれど。

 

◆競合を叩いても・・・

いわゆる競合も、いわゆるじゃない競合も、
そばについては、直接的な比較は避けたい

課題8の分析でも書いていることですが、
競合を否定するだけのアプローチでは、
「ダメじゃないもの」になりがちなので。
特に、明確な製品スペックだけではない、
感覚や雰囲気も重要になる課題では。

それに、他のお店がダメだからといって、
そじ坊を選ぶ理由にはならないですよね。

そもそも、こういう種類のお店って、
ある種の商品やサービスとは異なり、
毎回同じものを選び続けるわけじゃない。
だから、選択肢にさえ入れてもらえれば

あくまでも、「そじ坊」を肯定的に。
他のお店はうっすらと背景に、ぐらいで。
特に、「杵屋」のうどんを貶めないように。

一方、夜の「お酒と逸品料理」の場合は、
居酒屋と比較する視点はあってよさそう。

 

◆訴求点は?

おいしさとか心地よさとか感覚的なのは、
どうしても漠然としたものになりがち
明確な訴求点は、かなり限られそう。

そばなら、「自分でおろせる生わさび」
これはやってみたくなる人も多いのでは。
ちなみに、作品に活かせるかはともかく、
余った分を持ち帰るための専用袋あり。

夜の部なら、「ボトルキープ」はいかが?
実際に店舗に行って感じた印象としても、
かなり目立つところにボトルが並んでいて、
そこには力を入れているように感じました。
需要はありそうだし、常連客を作れるかも。

マイナーすぎる訴求点は感心しない
実際に広告になることを想像すれば、
かなり強い違和感を感じるのでは。

例えば、「お通し」みたいに出てくる、
ベビースターそば」みたいなやつは?
まあ、出されれば喜ぶ人は多そうだし、
むしろ商品化してくれれば買いますけど、
それを前面に押し出すのもねえ・・・。

「切り口」という用語に振り回されすぎて、
広告の目的との整合性を忘れないように。
私、「切り口」という概念が嫌いです。
なんだか「断面図」みたいなイメージだし、
それ以前によく意味が分からない気もするし。
「断面図」ではなく、「顔」を作るべきでは。

 

◆雰囲気をどう高めるか

視点さえよければ、というわけにはいかなそう。
思わず好きになってしまうような表現が欲しい。

 

次回は、「10.クレディセゾン」。