第56回宣伝会議賞 課題分析 22.ソニー損害保険
「課題分析シリーズ」、第22回は、ソニー損害保険。
◆セゾン保険の課題との違いは?
前回までは、セゾンの自動車保険の課題が。
この課題と、どれくらい違いがあるのか。
「代理店型に対するダイレクト型の優位性」、
という意味で、ポイントはほぼ同じかと。
ただ、今回は世代は関係なさそうですし、
オプションはセゾン保険の方が豊富かも。
◆「保険の必要性」は無効
「代理店型に対するダイレクト型の優位性」、
であって、「保険に入らなきゃ」じゃない。
セゾン保険の課題の一次通過作品の中には、
さすがに少ないけれど、ちらほらありますが。
◆「手頃な保険料」が基本
課題やオリエンの趣旨から考えれば、
訴求点はほぼここしかないのでは。
事故対応のCMも実際にやっていますし、
「拒否されない」ために必要としても、
少なくともキャッチフレーズ自体では、
そこでは「優位性」は主張しにくい。
「損をするかもしれない」とありますし、
今回の課題の趣旨には合わなそうです。
◆前回の企業コメントを参考に
前回の協賛企業賞への企業コメントの抜粋。
特長をシンプルに、そしてはっきりと
当社が課題のひとつとしている
「ダイレクト自動車保険に対する
なんとなくな不安感」を払拭
「安さ」というキーワードが与える
ネガティブな側面を打消し、
上手く「安心」につなげている
今回の課題でも、大変参考になります。
これだけ的確な講評が書けるのなら、
コピーライターが一次審査をするより、
出題企業に任せた方がいいような。
受賞作も、実務的には模範的では。
宣伝会議賞では評価されにくくても。
◆「浮いたお金エピソード」は有効か?
「保険料が浮いた分をこれに使った」話、
いくらでもバリエーションを作れますね。
でもこれ、実際にはどれくらい有効か?
「具体例→一般論→自分事化」の想定では、
直接ヒットしないなら一般論の方がいい。
ただ、直接ヒットする具体例もありそう。
保険料を毎月の家計の一部と考えると、
浮いた分の用途の典型例もなくはない。
でも、エピソード化する必要はあるの?
「例えばこれに回せばこうなりますよ」、
と、「二人称」で提案する感じでいかが?
セゾン保険の一次審査通過作品には、
そういう「言い方」は見当たりませんが。
具体的なイメージさえ与えられれば、
「安さ」に妙な情緒はいらないのでは。
広告に出てくるエピソードというだけで、
「都合のいい話」と思われかねないし、
エピソードが胡散臭さを感じさせてしまうと、
それこそ「なんとなくな不安感」が・・・。
前回までのクレディセゾンの課題にも、
同じことが言えるかもしれませんね。
エピソード型より、提案型でどうか。
ただ、審査員が無条件に前者を選ぶと、
考えて後者を選んだ応募者はつらい。
エピソードによる「自分事化」については、
作用機序がもっと検討されるべきなのでは。
どういうエピソードが、なぜ有効なのか。
一般性を失うデメリットもありますしね。
次回は、「23.大成有楽不動産販売」。