宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 34.トクヤマデンタル

「課題分析シリーズ」、第34回は、トクヤマデンタル

 

◆年齢層は高すぎず

主にシニアを想定するのは感心しない。
孫がおじいちゃんに言うセリフとか。
出題企業が推進しようとしているのは、
もっと若い年代からの口腔ケアのはず。

 

◆脅すのは・・・

歯医者って、ただでも敬遠されがちでしょ。
だからこそ、この課題が出題されたわけで。

脅すのは、正しくても逆効果じゃないかな。
それに、脅すなら、専門家がやった方が。
わざわざ宣伝会議賞に出題しなくても。

 

◆指摘することと人が動くこと

「分かっているがやらない」という意味では、
第54回の主催者特別課題に似ているかも。

三次審査通過の「缶詰パーティーは、
私の中ではグランプリ級の傑作です。
「やらなきゃ」を「楽しいかも」に変換

他の多くの作品は、「指摘止まり」の印象。
「分かる」だけでは動機付けになりにくい。

 

◆「一人称過去」は・・・

宣伝会議賞では過剰気味の「一人称過去」。
経験を基に遠い目をしてつぶやくコピー。
受け手の自己投影を狙っているとすれば、
受け手にも似た経験があることが必要では。

「年賀状は、贈り物だと思う。」が好例。
そう言語化してはいなかったというだけで、
多くの人が持っていた想いがありありと。

実は、上記の防災意識の課題の通過作品、
「一人称過去」が、例外的なほど少ない。
応募者が出さなかったとは考えにくい。
審査員が違和感を感じて落としたのかな。
上記の観点からは、その判断は妥当
未実行のことを実行してほしいわけで。
過去の想いは実行には至らなかった
受け手の経験の自己投影では機能しない。

本課題についても、同じじゃないかな。
過去の経験に訴えても、現状のまま。

 

◆「一人称過去」がダメなら・・・

「三人称」は「指摘止まり」になりがち。
では、「一人称未来」「二人称」か。
「一人称未来」は、「私はこうなりたい」
「二人称」は、「あなた」への呼びかけ
親しい人のお願いや、専門家のアドバイス
うーん、解決のイメージが湧きにくい・・・。

 

心理的テクニックも必要か

いわゆる「発見」もあった方がいいとしても、
いかに心理的に受け入れやすくできるかが、
本課題では比重が高いような気がします。

 

次回は、「35.日通商事」。