宣伝会議賞の哲学

宣伝会議賞を通して、コピーライティングのあるべき姿を考えていきます。

第56回宣伝会議賞 課題分析 45.PR TIMES (PR TIMES)

「課題分析シリーズ」、第45回は、PR TIMES (PR TIMES)

 

◆サービスの概要

なじみのないサービスなので、ここから。

・プレスリリース配信機能
 選択したマスメディア・ウェブメディアと、
 会員記者・編集者にプレスリリースを配信。
 メディアは300媒体まで発信側が選択可能
 記者・編集者は、受信側がジャンル設定可能。
 もちろん、掲載されるかは受信側の判断次第

・プレスリリース掲載機能
 プレスリーリースを20媒体以上に掲載。
 こちらは掲載は保証されるようです。
 大手の新聞/ポータル・ビジネス系から、
 特定のジャンルを扱うメディアまで。
 掲載先は PR TIMES の判断に委ねられる。
 PR TIMES 自体のサイトにも掲載される。

料金は、3万円/1配信の従量課金プランか、
月7~8万円で本数無制限の定額プラン。
なお、プレスリリースの質を確保するため、
配信・掲載にあたっては審査があります
同じリリースを続けて何度も、とかは禁止。

詳しくは、企業ウェブサイトの以下の資料を。

https://prtimes.jp/common/file/eigyou_siryou.pdf

 

◆「個人」とは?

うーん、これの解釈は微妙なんですよね。

「スタートアップチャレンジ」という、
新興企業を応援するプログラムがあって、
個人経営に近い例も挙げられていますが、
これも本課題の「個人」に入るのか?
課題にある「地元の農家」の例からは、
そういうのも入りそうには思えますね。
ただ、一人でやってなくてもいいけど、
「会社らしい会社」は外したいかな。

また、法人化しているかは問題ではない
と思いきや、実は現在のウェブサイトでは、
申込の際に「法人名」が必須になっていて。
でもこれは、単なる不行き届きでしょうね。
現状ではまだ、ほぼ企業顧客だけなので、
本課題の趣旨が反映されていない、と。

結論として、本課題における「個人」は、
法人/非法人、営利/非営利を問わない
一人または少人数で活動している人、で。

上記の個人経営的ビジネスだけでなく、
個人やグループによる文化・社会活動等。
ただ、NGOや学校は広げすぎかな。
サービスの対象ではあるのでしょうが、
本課題では「個人」にふさわしい選択を

ちなみに、サービスのプランの設定、
個人向けを別途考えた方がよさそう。

 

◆具体例か一般論か

サービスがサービスだけに、チャンネルも、
デジタルやニッチなメディアを想定しがち。
それに合わせて、コピーも細分化の方向へ。

でも、私はそうじゃないと思っています。
今あるニーズを「刈り取る」のではなく、
個人がプレスリリースを発信する文化を創る
課題やオリエンからは、そういう志の気配。
今はニーズがない人も含め、社会全体が、
それが当然で価値あることと考えるような、
新しい大きな社会観を発信したいのでは

東証一部上場企業とはいえ規模は小さく、
潤沢な広告予算があるとは思えないし、
そもそもPR向きの課題のようでもあり、
でもPRはPRでやっているはずだし、
出題側がどんな広告を想定しているのか、
そこまでは判断しにくいのですが・・・。

あ、「広告コピー」とは限らないのかな。
自社ウェブサイトの閲覧数も多いらしいし、
そこで発信するメッセージに使うとか。
媒体費を払って出稿する「広告」じゃなくて。

 

◆作り話禁止

「事業が新聞に掲載された。すごいことになった。」
という作り話をあれこれ作るのだけはやめてほしい。
事業と結果のバリエーションはいくらでも作れます。
でも、コピーライティングってそういうことですか?
また、なぜそういう文体を選択するのかも不明ですし。

もちろん、メディア掲載は実際にありえますけど、
過去形で書くなら実例じゃないと問題なのでは
作品意図に「コピーはイメージです」と書くの?
実例があるなら、出題企業自身が紹介すればいい。
そもそも今のところ、顧客はほぼ企業だけのはず。

 

次回は、「46.FIXER」。